こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
確かに、ソニリアは今や世界的に有名になりつつあるメガ企業だ。そんな御曹司と結婚でもすれば、安定した生活は約束されるだろう。けれど。

「わかってない……わかってないよ! 私、そんな話にホイホイついていくような女じゃない!」

『待ちなさい、凜子! り――』

父は私のことを理解してくれていると思っていたのに、そんな餌をちらつかせられて喜ぶような娘だと思われていたのが悔しくて、そして悲しかった。荒々しく電話を切ると、道行く人が何事かとジロジロ私を見て通り過ぎて行く。

むしゃくしゃする。今夜はガッツリ飲んでやろう。

明日は都合がいいことに土曜だ。そう決めると、私は目の前に停まったタクシーに勇んで乗り込んだ。
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