こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
すっかり酔いも醒めて、時刻は夜中の二時をさしていた。当然電車もない。タクシーを拾ってここから荻窪のアパートまで帰るとなると、手持ちで足りるかわからないし、最上さんからお金を借りるなんてことも情けないし、絶対にしたくない。どう考えても今すぐ自宅に帰る術がないとわかると、私は深いため息をついておとなしくここで朝を迎えることにした。

――お前だけは嘘をつかないでくれ

――お前だけは、ほかの女と違うって思いたいんだよ

――なぁ、お前の本当の素顔を見せてくれよ
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