こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
あ、いつもの席に誰か座ってる。
私はここへ来ると、いつもカウンターの奥の席に座る。けれど今夜は先客がいるようだ。そこに座ってウィスキーのようなものを飲んでいるのは濃紺のスーツを着た三十代くらいの男性で顔の角度が変わったその時、なぜかドキリと胸が鳴った。彼との距離は遠くない。二、三歩というところだ。
横顔だけど綺麗に整った顔立ちをしていて、日本人にしては鼻も高くて鼻梁もすっきりとしている。艶のある黒髪で清潔感のある髪型。そして組んだ脚と体格を見ると、一八〇センチはある高身長だと座っていてもわかった。すると。
「なに?」
「え……」
思わずじっと見過ぎてしまった。彼は私の視線に気づいてこちらに不機嫌そうな顔を向けた。考えてみれば、こんな近距離で見つめられたら不審に思われても仕方がない。
正面を向いた彼の顔は思った通り、私の中で完璧だった。そのままテレビや雑誌に出ていても違和感がないくらいだ。この店には月に三回は通っているけれど、こんなイケメンは見たことがない。
「そんなに見られたら居心地が悪い」
私はここへ来ると、いつもカウンターの奥の席に座る。けれど今夜は先客がいるようだ。そこに座ってウィスキーのようなものを飲んでいるのは濃紺のスーツを着た三十代くらいの男性で顔の角度が変わったその時、なぜかドキリと胸が鳴った。彼との距離は遠くない。二、三歩というところだ。
横顔だけど綺麗に整った顔立ちをしていて、日本人にしては鼻も高くて鼻梁もすっきりとしている。艶のある黒髪で清潔感のある髪型。そして組んだ脚と体格を見ると、一八〇センチはある高身長だと座っていてもわかった。すると。
「なに?」
「え……」
思わずじっと見過ぎてしまった。彼は私の視線に気づいてこちらに不機嫌そうな顔を向けた。考えてみれば、こんな近距離で見つめられたら不審に思われても仕方がない。
正面を向いた彼の顔は思った通り、私の中で完璧だった。そのままテレビや雑誌に出ていても違和感がないくらいだ。この店には月に三回は通っているけれど、こんなイケメンは見たことがない。
「そんなに見られたら居心地が悪い」