こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
私の住んでいるアパートは、荻窪の駅から少し離れた閑静な住宅街にぽつんと佇んでいる。静かなところで、十戸ある中の一階に年配女性の大家さんがひとりで住んでいる。住人は全員独り暮らしの会社員や学生だ。特に関わりはなく顔を合わせても挨拶程度しかしない。
実家は世田谷の高級住宅街にある一軒家だけど、私は社会人になったと同時に家を出た。今の給料ならもっといい場所に住もうと思えば住めるのに。と木造の築三十年、オートロックもないおんぼろアパートに住んでいることを父はあまり快く思っていない。けれど馴染んでしまえば住み心地がよくて、いまさら引っ越すなんて億劫になってしまった。
最上さんの態度はぶっきらぼうだけど、ついうとうととしてしまうほど運転は丁寧だった。
「おい、お前のアパートってあそこか?」
最上さんの声にうっすら目を開ける。いつの間にか寝てしまっていたみたいで、アパートが見えるとそのまどろみさえも吹っ飛ぶような光景に身を乗り出して思わず目を見開いた。
実家は世田谷の高級住宅街にある一軒家だけど、私は社会人になったと同時に家を出た。今の給料ならもっといい場所に住もうと思えば住めるのに。と木造の築三十年、オートロックもないおんぼろアパートに住んでいることを父はあまり快く思っていない。けれど馴染んでしまえば住み心地がよくて、いまさら引っ越すなんて億劫になってしまった。
最上さんの態度はぶっきらぼうだけど、ついうとうととしてしまうほど運転は丁寧だった。
「おい、お前のアパートってあそこか?」
最上さんの声にうっすら目を開ける。いつの間にか寝てしまっていたみたいで、アパートが見えるとそのまどろみさえも吹っ飛ぶような光景に身を乗り出して思わず目を見開いた。