こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「おい、待てって! 早まるな」
部屋のドアノブに手をかけようとした時だった。手の甲をぐっと押し付けられ、ドアを開ける手を阻止される。振り向くと、険しい顔つきの最上さんが「だめだ」というように首を振って立っていた。
「まだ現場検証の終わってない部屋に入るのは危険だ。もしかしたら、まだ犯人が中にいるかもしれないだろ」
最上さんの言うことはもっともだ。もう逃げたかもしれないけれど、逃げ切れなくて部屋の中に潜んでいる可能性もある。そんな部屋に私が行ったら……。その後の事態を想像しただけで震えて身体を掻き抱いた。
そうこうしているうちに現場検証が始まった。警察の人と部屋に入ると窓ガラスが割られていて、破片があちこちに散らばっていた。クローゼットのものはひっくり返され、鑑識が所々に粉を振っている。非日常的な光景に頭が真っ白になって、警察からの質問にまともに答えられないでいると。
部屋のドアノブに手をかけようとした時だった。手の甲をぐっと押し付けられ、ドアを開ける手を阻止される。振り向くと、険しい顔つきの最上さんが「だめだ」というように首を振って立っていた。
「まだ現場検証の終わってない部屋に入るのは危険だ。もしかしたら、まだ犯人が中にいるかもしれないだろ」
最上さんの言うことはもっともだ。もう逃げたかもしれないけれど、逃げ切れなくて部屋の中に潜んでいる可能性もある。そんな部屋に私が行ったら……。その後の事態を想像しただけで震えて身体を掻き抱いた。
そうこうしているうちに現場検証が始まった。警察の人と部屋に入ると窓ガラスが割られていて、破片があちこちに散らばっていた。クローゼットのものはひっくり返され、鑑識が所々に粉を振っている。非日常的な光景に頭が真っ白になって、警察からの質問にまともに答えられないでいると。