こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
彼はぶっきらぼうにそう言い放った。ニコリともせず、なんだか近寄りがたい雰囲気だ。
「こちらの女性のお客様はいつもそこの席にお座りなんですよ」
カウンターのマスターが歩み寄ってフォローしてくれたけれど彼はただ、ふうんと興味なさげに鼻を鳴らした。
「すみません。私、あっちに座りますね」
「隣、座れば?」
私の言葉を無視して彼が隣のスツールに座るように促してきた。
隣に座ればって言われても……知らない人の隣で飲むなんて、それこそ居心地が悪いよ。
「ここがお前の特等席でも、今夜は俺が先約だ。隣ならいいだろ? この席は俺も気に入ってるんだ」
そういう問題じゃないんだけどな……しかもなんかこの人、感じ悪いし!
早く座れと言わんばかりに顎をしゃくられて、そう思いつつ私は渋々その態度の悪い彼の隣に座る。すると彼から大人っぽいムスクの香りがふわりとした。
「いつも最初になにを飲むんだ?」
「……チャイナブルーですけど」
「じゃあ、彼女にそれを」
注文を受けたマスターが軽く頭を下げてカウンターの奥の棚からライチリキュールを取り出して、カランといい音を立ててグラスに氷を入れ始めた。
「こちらの女性のお客様はいつもそこの席にお座りなんですよ」
カウンターのマスターが歩み寄ってフォローしてくれたけれど彼はただ、ふうんと興味なさげに鼻を鳴らした。
「すみません。私、あっちに座りますね」
「隣、座れば?」
私の言葉を無視して彼が隣のスツールに座るように促してきた。
隣に座ればって言われても……知らない人の隣で飲むなんて、それこそ居心地が悪いよ。
「ここがお前の特等席でも、今夜は俺が先約だ。隣ならいいだろ? この席は俺も気に入ってるんだ」
そういう問題じゃないんだけどな……しかもなんかこの人、感じ悪いし!
早く座れと言わんばかりに顎をしゃくられて、そう思いつつ私は渋々その態度の悪い彼の隣に座る。すると彼から大人っぽいムスクの香りがふわりとした。
「いつも最初になにを飲むんだ?」
「……チャイナブルーですけど」
「じゃあ、彼女にそれを」
注文を受けたマスターが軽く頭を下げてカウンターの奥の棚からライチリキュールを取り出して、カランといい音を立ててグラスに氷を入れ始めた。