こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「大丈夫か?」
付き添ってくれた最上さんがそっと肩に触れる。労わるような声音に、彼がいてくれてよかったとふと思ってしまう。ひとりだったらきっと正気が保てなくてあたふたしていただろう。
「はい」
震える声でなんとかひとこと返事をする。そしてハッとあることを思い出して、飛びつくように私はタンスの引き出しを慌てて引いた。
「……ない」
セキュリティーの薄いアパートだったけれど、今までなにもなかったからといって平和ボケしていたのかもしれない。引き出しに鍵をかけずに安易に貴重品をタンスの中にまとめていた現金、通帳、印鑑、カード類すべてなくなっていたのだ。
やられた……。
「盗られた金額はいくらくらいですか? 場所はこのタンスの中ですか?」
警察はこんな状況でも冷静に写真を撮ったり指紋を採取したりと淡々と業務をこなしている。彼らにとって空き巣なんて珍しいことではないのだ。
「盗られた印鑑は銀行印か?」
そう最上さんに尋ねられてコクンと力なくうなずくと、その表情が険しくなった。
付き添ってくれた最上さんがそっと肩に触れる。労わるような声音に、彼がいてくれてよかったとふと思ってしまう。ひとりだったらきっと正気が保てなくてあたふたしていただろう。
「はい」
震える声でなんとかひとこと返事をする。そしてハッとあることを思い出して、飛びつくように私はタンスの引き出しを慌てて引いた。
「……ない」
セキュリティーの薄いアパートだったけれど、今までなにもなかったからといって平和ボケしていたのかもしれない。引き出しに鍵をかけずに安易に貴重品をタンスの中にまとめていた現金、通帳、印鑑、カード類すべてなくなっていたのだ。
やられた……。
「盗られた金額はいくらくらいですか? 場所はこのタンスの中ですか?」
警察はこんな状況でも冷静に写真を撮ったり指紋を採取したりと淡々と業務をこなしている。彼らにとって空き巣なんて珍しいことではないのだ。
「盗られた印鑑は銀行印か?」
そう最上さんに尋ねられてコクンと力なくうなずくと、その表情が険しくなった。