こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
考えないようにしようと思いつつも、帰りの電車の中で香奈の言葉がずっと頭にこびりついて離れなかった。窓に映る自分の顔もどことなく浮かない。考えていても仕方のないことだし、木崎課長のうしろめたさは否めない。私が気づかなかっただけで企画部の人たち全員が木崎課長のことを知っていたとしたらと思うと、これ以上あの部署にいるのは針の筵に身を投じるようなものだ。
駅に着いてとぼとぼとアパートまで歩いて行くと、ちょうど大家さんが出で来るところだった。
「酒井さん、今帰り? ちょうどよかった、ちょっと話したいことがあって」
いつも会うと笑顔を向けてくれるのに、その表情は暗い。
「どうしたんですか?」
「今日も昼頃に警察の人が来てね、酒井さんの部屋に施錠した後がなかったって」
え? 施錠していなかった……。まさか! 鍵をかけ忘れてたの?
いつも戸締りには気を付けているつもりだけれど、確かに部屋の窓の施錠は何回か忘れてしまったことがあった。たまたま鍵をかけ忘れた日に空き巣に入られたということなのか。
駅に着いてとぼとぼとアパートまで歩いて行くと、ちょうど大家さんが出で来るところだった。
「酒井さん、今帰り? ちょうどよかった、ちょっと話したいことがあって」
いつも会うと笑顔を向けてくれるのに、その表情は暗い。
「どうしたんですか?」
「今日も昼頃に警察の人が来てね、酒井さんの部屋に施錠した後がなかったって」
え? 施錠していなかった……。まさか! 鍵をかけ忘れてたの?
いつも戸締りには気を付けているつもりだけれど、確かに部屋の窓の施錠は何回か忘れてしまったことがあった。たまたま鍵をかけ忘れた日に空き巣に入られたということなのか。