こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「そういう不用心な住人がいると困るって住人から文句が出てるんだよ」

「そんな……」

「それに一度空巣に入られた所にまた住み続けるなんて、嫌じゃない? 不動産屋に相談してみたらどう?」

大家さんは言いにくそうにしているけれど、これは遠回しに退去勧告しているのだと思った。

「それって、ここから出ていけってことですか?」

「……申し訳ないけど、こんなことがあっちゃこっちも困るんだよね。酒井さんのご実家って会社経営してるんでしょ? 一度実家に帰ったらどう? 悪いけど、また空巣にでも入られたら責任取れないんでねぇ」

実家が会社経営しているならお金には困ってないでしょ?ここじゃなくてもほかに住むところはあるでしょ?そう言われているようで二の次が継げなくなってしまう。

「……わかりました」

「六カ月以内なら、なんとかなるでしょ、ね?」

私の了承の返事を聞いた大家さんは、ホッとしたようにいきなり明るい笑顔を見せると、そのままどこかへ出かけて行ってしまった。
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