こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
頬に伝う雫が涙なのか雨なのか自分でもわからない。すっかりずぶ濡れになってしまい、こんな姿で店に入れてくれるか心配になった。
寒い……。
秋の雨は冷たい。身体の芯まで冷え切って指先には感覚がなくなっていた。俯いたままネットカフェにようやくたどり着くと、すっと頭上が暗くなり影が射した。
「おい。こんなところで何してんだ?」
誰かが私に傘をさしてくれている。そう気がついてふと顔をあげると、そこになぜか最上さんが黒い傘を手にして立っていた。
「最上さん……?」
「お前、ドブねずみみたいだぞ」
ドブねずみ……そうかも。身も心もボロ雑巾みたいだ。
婚約者。ということを受け入れたくなくて最上さんにはついツンツンした態度を取ってしまう。けれど、今の私にはそんな気力もなかった。
寒い……。
秋の雨は冷たい。身体の芯まで冷え切って指先には感覚がなくなっていた。俯いたままネットカフェにようやくたどり着くと、すっと頭上が暗くなり影が射した。
「おい。こんなところで何してんだ?」
誰かが私に傘をさしてくれている。そう気がついてふと顔をあげると、そこになぜか最上さんが黒い傘を手にして立っていた。
「最上さん……?」
「お前、ドブねずみみたいだぞ」
ドブねずみ……そうかも。身も心もボロ雑巾みたいだ。
婚約者。ということを受け入れたくなくて最上さんにはついツンツンした態度を取ってしまう。けれど、今の私にはそんな気力もなかった。