こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「納得がいかないって顔してるな」

「当たり前です!」

積もりに積もった不満がつい爆発した。こんなこと、最上さんに当たったってしょうがないのはわかっている。けれど、私の中の不満は取り留めもなく口をついて出た。

「新商品のプロジェクトも始まってたのに、自分の企画したものが商品になるのが嬉しくてやりがいを感じていたんです! それなのに……自分の能力を伸ばせるかもわからないような部署にいきなり異動だなんて、正直心外です」

「俺はお前が仕事のできる人材だと確信している。自分の能力が伸ばせない? はたしてそうかな?」

最上さんがニヤリと笑って私を見る。

「……どういうことですか?」

身体が熱い。ホットワインも相まって、ついヒートアップしそうになる自分をなんとか抑え込む。最上さんはソファの背もたれに背中を預けると長い足を組んだ。

「お前の企画した商品はよくできている。売れ行きもいいしな。販売部が手放しで喜んでるぞ? おかげで顧客からのクレームも少ない。企画の段階からそれだけしっかりしてるってことだ」

最上さんはただのコールセンター長じゃない。ソニリア代表の息子だ。会社全体のこともよく把握しているようだ。
< 92 / 317 >

この作品をシェア

pagetop