こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
木崎課長との噂を吹聴していた張本人は香奈だった。そのことは言われなくても今日わかってしまった。信じていた友人から裏切られてショックだったけれど、なりより私の知らないところでそんな噂話を最上さんに聞かれていたなんて屈辱だった。
「既婚者だろうがなんだろうが、それなりに魅力があればそそられるだろ。興味を持たないなんて不可能だ」
「じゃあ、最上さんは不倫に肯定的ってことですか?」
「そうじゃない」
今まで余裕な顔をしていたくせに、最上さんは急に真顔になる。
「唯一“理性”を持っているのが人間だ。プライドを捨てるなと言っている」
その言葉は、私の胸にじんわりと染み込んで「人の道から外れるようなことをするんじゃない」そう窘められているようだった。
「いいんですか? そんな偉そうなこと言って。私がコールセンターに異動したら、最上さんが社長の息子だって言いふらすかもしれませんよ? 私の“元友人”みたいに」
反撃にもならない稚拙な発言に自分でも呆れてしまう。最上さんの言っていることはごもっともなのはわかっているのに。
だって、言われっぱなしじゃ悔しいじゃない。
すると、意外にも最上さんが眉尻をすっと下げた。この反応は……効果アリか。
「既婚者だろうがなんだろうが、それなりに魅力があればそそられるだろ。興味を持たないなんて不可能だ」
「じゃあ、最上さんは不倫に肯定的ってことですか?」
「そうじゃない」
今まで余裕な顔をしていたくせに、最上さんは急に真顔になる。
「唯一“理性”を持っているのが人間だ。プライドを捨てるなと言っている」
その言葉は、私の胸にじんわりと染み込んで「人の道から外れるようなことをするんじゃない」そう窘められているようだった。
「いいんですか? そんな偉そうなこと言って。私がコールセンターに異動したら、最上さんが社長の息子だって言いふらすかもしれませんよ? 私の“元友人”みたいに」
反撃にもならない稚拙な発言に自分でも呆れてしまう。最上さんの言っていることはごもっともなのはわかっているのに。
だって、言われっぱなしじゃ悔しいじゃない。
すると、意外にも最上さんが眉尻をすっと下げた。この反応は……効果アリか。