こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「……それは困るな」

見つけた! 最上さんの弱点。

そう思ってほんのつかの間の優越感に浸りかけた時。

「きゃっ」

ぐるんと視界が回転したかと思うとそのまま勢いよくソファに押し倒されてしまった。
私を組み敷いた最上さんは、ふっと不敵に笑みを浮かべて見下ろした。

「……なんて、俺がそんなことで狼狽えるとでも思ったか? ほんとに可愛くない女だな。前にお前の親父さんと食事した時、内密にって言ったことを真に受けたんだろ。このミトコンドリア脳」

「な、なんですかそれ、単細胞って言いたいんですか?」

最上さんが噴き出して笑うと小馬鹿にされているようでイライラが募る。

「俺に弱点なんかない。それに、たとえセンター内に俺が社長の息子だってバレたところでなにも変わらない。まぁ、知らなかった連中は驚くかもしれないけどな」

クスクスと笑いながら最上さんが私の肩口に顔を埋める。

「やっ……」

首筋に口づけられて悪寒にも似た震えがゾクリと身体を硬直させる。

熱い……。触れられただけなのに、どうしてこんな……。
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