こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「誘ってるって勘違いされたくなかったら、そんな潤んだ目で見るなよ」

ジャケットを脱いでシャツ一枚だと、意外にがっちりとした体格をしている。確か酔ってここに連れてこられた時も同じようなことがあったけれど、あの時に感じた熱が再び思い起こされてしまう。

「あっ、ん……」

私になにも言わせまいと唇を塞がれる。すでにしっとりとした額を拭われ、唇が離れると窒息寸前のように勢いよく息を吸い込んだ。

「どうしてこんなことするんですか? 好きでもないのに、キスするなんて」

「したいからする。理由なんかない」

私の身体が熱いのか彼の身体が熱いのか、もうすでにそんなことを考える余裕もない。舌を絡められると全身が麻痺したように抵抗する術を失う。時折頬に感じる最上さんの艶めいた吐息が頬に触れ、スウェットの首元を引かれて際どいところまで口づけが這う。前開きのシャツなんか着ていたら、それこそもう脱がされかねない。

いつもなら「やめて!」と突っぱねるのに、どうしても身体に力が入らない。とにかく、熱くて熱くてたまらない。

もう、どうにでもなればいい。いっそのこと嫌なこと全部忘れ去りたい。
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