こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
――甘え方を知らないなら、俺がおしえてやるよ。

――だから、早く俺のところへ堕ちてこい。

そんな声が聞こえたような気がしたのは何時頃だっただろうか。
前にも同じような穏やかで優しい声音を聞いたことがある。
おぼろげな意識が徐々に浮かんだ時には、もう頭の中で聞こえていた言葉はなんだったか思い出せなくなっていた。

「ん……」

うっすらと重たい瞼を押し上げる。閉められたカーテンの隙間から明るい朝の陽ざしが射しこんでいるのが見えた。

頭が痛い……それに身体もなんだか重だるい。

昨夜、最上さんに押し倒された時の熱がまだ残っているのか、いまだに身体が燃えるように熱かった。身体を起こそうとしたけれど、まるでベッドに縫い付けられたように動かない。

あれ、私……どうしちゃったの?
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