Green Apple
4月◯日、新学期。
俺はいよいよ6年生になった。
5年生の時と比べてなんだか強くなった気がする。
俺の小学校は2クラス制で、全校生徒は300人以上。
低学年の頃はそこそこみんな仲が良い感じだったが、
高学年となると何かと見た目や噂などに敏感になっている気がした。
その中で、俺はモテるらしい。
告白された経験もあり、バレンタインも10個以上はもらっている。
でもなぜだろう?
カワイイと思う奴はいるけど、
ヤサシイって思う奴はいるけど、
恋愛として好きと思ったことが1度もない。
…いや、そもそも恋愛とは何か、と言われてもよくは分からないけれど。
あ、また目があった。
俺のクラス2組で、
というより新6年の中で1番可愛いらしい、
まどんな様が右斜め前にいるにもかかわらず、わざわざ振り返って俺を見る。
「何回も見すぎじゃない?」
そう言ったのは、長い髪を1つで結んでいるのが特徴の、俺の隣で俺の幼なじみである。
「えっ、ぶっちゃけ俺っていいわけ?」
「…そりゃあカッコイイと思うけど。」
「へえ〜マジで答えるんだ〜。」
「なにそれ!からかってたわけ?うざ!」
そういって俺の肩を叩く。 馬鹿力だな…。
そうやって、女の子の反応を楽しみながら、男たちと運動場でサッカーして…、
それが5年生までの日常だった。
あの子と出会うまでは。