真実(まこと)の愛
「それに、向こうのものって、いざ壁に飾ろうって思っても、まどろっこしくて手っ取り早く設置できないじゃないですかぁー。工夫が足りなくて使い勝手が悪いっていうか……そもそも、壁に穴を開けるのが前提だし。どんなにオシャレでかわいくても、賃貸じゃアウトですよぉー」
「……ちょっと、紗英ちゃん、ストップ」
突然、クロッキーブックから顔を上げた麻琴が、宙を見たまま遮る。
「はい?」
紗英がきょとんとした顔になる。
……なるほどね。
麻琴の口角が上がった。
「紗英ちゃん、招集かけて。守永さんが外回りから帰ってきたら、上林くんもミーティングルームに集合よ」
……突破口が、見えてきたわ。