真実(まこと)の愛
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守永が外回りから帰ってきたのを見計らって、麻琴のチームのメンバーがミーティングルームに集結した。

「……とりあえず、まだラフ画なんだけど」

麻琴はそう言いながら、フレームをスケッチしたクロッキーブックを見せた。

「家でいるときに寛げる空間づくりの手助けになるのはもちろんだけど、外から帰ったときにお気に入りの絵や写真を見てホッとできたらな、と思って」

「フレームのデザインは北欧風ですね。
……でも、こういうのって、もうイケアでは定番商品じゃないっすか?」

早速、上林が苦い顔をする。

「でも、イケアに限らず海外のものはデカくて使い勝手が悪いし、穴を開けないと設置できないって、麻琴さんと話してたんですよ」

紗英が「援護射撃」してくれる。

「そうなのよ。だからね、日本の住宅事情に合わせた規格のフレームをつくってみたいの。
マンションやアパートに多い間取りの一角を想定して、飾ったときにバランスの良いサイズになるようにしたいのよ。そして、強度を配慮しながらも、だれもが簡単に取り付けられるように極力簡素化したいわ。もちろん、退去時にトラブルになるような壁を傷つけることなくね」

なかなか難しい使命(ミッション)だが、だからこそプロダクトデザインをする者にとっては腕が鳴る。

「ほかには?……まだ、なにか考えてるんだろ?」

腕を組んでクロッキーブックを覗き込む守永が尋ねる。

「はい、そうですね。昨今の自然環境問題にも考慮して、材質は木枠なら間伐材をつかった集積材にすることや、プラ枠ならペットポトルなどをリサイクルしたプラ材にすることを考えてます。
……ロハスライフの『LOHAS』って『Lifestyles Of Health And Sustainability〈健康で持続可能な生活様式〉』のことですもんね。ブランドコンセプトは商品を通してしっかりと主張していきたいです」

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