真実(まこと)の愛

「ぎょ…業務中なんですけどっ!」

麻琴の抵抗も虚しく、医務室のドアを閉めてロックした松波は、彼女を診療用のリクライニングチェアに座らせた。

「これも業務の一環ですよ?『渡辺』さん」

松波は医師用のチェアに座って、タブレットを操作しはじめた。

「……最近、また残業が増えてますよね?
このままだと、あなたの上司に『業務改善勧告』を促すことになりますね」

「ちょ…ちょっと待ってください!」

麻琴は立ち上がりそうになった。

「今、やっと、わたしの新しいチームが軌道に乗りそうなんですっ!」

……ほんとに、それだけはマジで困るんですっ!

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