真実(まこと)の愛

『智史、別れるなんて言わないで。
本当はわたし……あなたのことが好きだったの』

麻琴は生まれて初めて、男に(すが)って泣いた。

『幼なじみと結婚なんかしないで。
わたしの方がずっとあなたの傍にいたじゃない。
どうして、その(ひと)なの?
わたしをちゃんと見て!わたしとちゃんとつき合って‼︎』

想いを込め、麻琴は渾身の力を振り搾って、彼に訴えた。

だが、それを境に青山がすっぱり会ってくれなくなった。運悪く、GWの大型連休に差しかかったところで、頼みの綱の会社でも見ることができない。

それでも麻琴は、しつこく彼のスマホに通話したりして追いかけた。

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