真実(まこと)の愛

「……ところでさ、麻琴」

そう言う芝田の声に、麻琴は「なあに?」と返事するが、クロッキーブックから顔を上げることはない。一心不乱に、メモを取っていた。

「きみ、まだ独身だよな?
今……つき合ってるヤツとか……好きなヤツとかって、いるのか?」

……はぁ?仕事の話してるときに、いったいなに訊いてんの?

麻琴は怪訝な顔をして、ようやくクロッキーブックから顔を上げた。

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