真実(まこと)の愛
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明るめのブラウンの髪に、灰緑色の瞳。
日本人離れした顔立ちに一八五センチ以上ある長身から、どう見てもパリコレなどのモデルにしか見えないその男が、麻琴の隣の椅子にさもあたりまえのように腰を下ろした。
大きな窓を通して入ってくる日光の加減で、シャークスキンの布地が微妙な光沢を放っている。
イギリスはサヴィル・ロウ仕立ての、見るからに仕立ての良いチャコールグレーのスーツだ。
若かりし日オックスフォードで学びイギリス人の妻を娶った亡き祖父に倣って、彼はいつもスーツを誂えるときには、まったく同じデザインのものを一度に三着オーダーしていた。
「ど、どうしてこんなところに……?」
突然のことに、麻琴のハスキーヴォイスが上擦って掠れた。