真実(まこと)の愛
「麻琴……もしかして『婚約者』である僕のこと、彼に言ってなかったの?」
松波が麻琴の方に顔を向けて、じろり、と睨んだ。
……ちょ、ちょっと!
先刻は『結婚を前提にしておつき合いしている者』って言ってらしたわよね?
いつから『婚約者』に昇格したの⁉︎
「ま、松波先生……あのっ……」
「麻琴、ここは会社じゃないんだよ?
僕のマンションで二人っきりになったときのように『恭介』って呼んでいいんだからね」
一転して蕩けるような笑顔に変わった松波が、麻琴の頭をぽんぽんとする。
……はい?