真実(まこと)の愛

「おれと麻琴は美大時代からの腐れ縁です。
出逢ってからずっと、彼女の幸せを望んできました……一時期は、おれ自身の手で実現させたいと思ったんですが……無理だったので」

そこで、芝田は一瞬、なんとも言えぬ切なげな表情になった。

「でも、おれとのことが、麻琴がこの歳になってあなたと出逢って、幸せになるために必要なことであったのなら……」

芝田は少し寂しげな表情で、ちらっ、と麻琴を見た。

「『捨て石』になったおれの方も……報われます」

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