真実(まこと)の愛

ミーティングテーブルについた麻琴は、早速、現状を報告しはじめた。

「この前のデザイナーとの打ち合わせでは、芝田氏が『世に出たい若手クリエイターにはもってこいのチャンスで、ボランティア関連はイメージ的にもいいし、成功すれば今後、一般企業に売り込むときに『使える』キャリアになる』とおっしゃってました」

麻琴から渡された、

【芝田 淳 / Shibata Atsushi
Art Director&Graphic Designer】

の名刺を見ながら、守永が「そうか」とつぶやいた。

「それから、初めから中身とフレームを固定せずに、同じ規格の中身とフレームを何種類かつくって、買う側が自由に組み合わせられる『選択肢』を用意し、最終的にその作品を『完成』させるのは『自分自身』だ、というふうに仕向ければどうか、というご提案もいただきました。
あと、AKBやJリーグみたいに『入れ替え制』にしてクリエイターたちを競わせ、売り上げ下位の者は次のシリーズの作品がつくれないようにするプランもありまして……」

「へぇ……どうやら、おもしろそうな新商品になりそうだな、麻琴?」

腕を組んで聞いていた守永が、にやりと笑った。

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