真実(まこと)の愛

……わ、わたしも大阪支社へ⁉︎

いきなりのことに戸惑う麻琴を尻目に、

「麻琴はこの会社にはプロダクトデザインをやるために入ってきたとは思うけどな」

守永は、頬杖をついていた体勢からいきなり姿勢を正した。

「おれは、きみが実は『人材管理』の方に向いていると思ってる」

確かに自分には芝田のようなデザイナーとしての感性も才能もないということを、麻琴は美大時代からすでに、だれよりも実感していた。

「……誤解するなよ?
プロダクトデザイナーとしての渡辺 麻琴は劣る、という意味で言ったわけじゃない」

とたんに表情を曇らせた麻琴に、守永は「まいったな」という顔になる。

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