真実(まこと)の愛

「……北欧、ですか」

上林は苦い笑いを浮かべていた。

「文具なら、まだ斬新でしょうけどね。
生活雑貨では、もう手垢にまみれてますよ。
そもそも、本場スウェーデンのイケアも、デンマークのタイガーコペンハーゲンやソストレーネグレーも、すでに日本に『上陸』してるんです。
……ホンモノ相手に太刀打ちできますか?」

麻琴は返す刀でバッサリ袈裟懸(けさが)けにされた。

「ちょ、ちょっと……上林さんっ」

紗英がおろおろと焦りだす。
だが、彼女とて上林の一期下の後輩だ。
強くは制することができない。


「……上林、そのへんにしておけ」

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