真実(まこと)の愛

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声のした方へ三人が振り向くと、すらりと背の高い、紺のスーツを着た黒髪の男が立っていた。

「あっ……守永課長っ!」

紗英がホッとした顔になる。

……いきなりイヤなヤツに、ずいぶんとイヤなところを見られたわね。

麻琴は思わず顔をしかめた。

(株)ステーショナリーネットでは、カジュアルな服装が許容されていて、男性はコットンニットにチノパンはまだマシな方で、Tシャツにデニムの人までいた。女性もプルオーバーやチュニックに、動きやすそうなガウチョパンツやフレアスカートを合わせた人が多かった。
上林と紗英もそのような服装だった。

麻琴はほどほどのオフィスカジュアルウェアを実践していて、ニットのセットアップを身につけていた。

守永だけがスーツなのは、なにも管理職だからではない。社外の人たち相手の「営業担当」だからだ。

「遅れて悪かったな。辞令を受け取りに、社長室まで行ってたんだ」

課長から上は、社長自ら辞令を渡すことになっていた。

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