真実(まこと)の愛
「まぁ……それでも、もし礼子が、私の子どもを産んでもいい、って言ってくれるなら……女の子がいいな」
鮫島が、俯く礼子を覗き込みながら「お願い」を囁く。
「ねぇ、礼子……私のために、きみによく似た娘を産んでくれるかい?」
パッと顔を上げた礼子が「もおっ!」と鮫島の腕を叩くと、その胸に頬を寄せた。
すると、鮫島が腕を回して、ふんわりと礼子を包み込む。
「だから、元気な女の子を産むためにも、無理な食事制限はしないで、ちゃんと摂ってくれよ?」
そして、礼子の旋毛にキスを落とす。
……えーっと、お二人さ〜ん、
目の前にいるほぼ初対面(鮫島社長に至っては確実に初対面)のわたしが見えていますかぁー?
ちなみに、男性は高齢になると息子より娘をもうける確率が上がるそうだ。(諸説あり)
……でも、まぁ、久城さんが本当に女の子を産んだら、今度こそ鮫島さんはいいパパになれるんじゃないのかしら?
さらに、今までできなかったこともあって、ものすごーく溺愛しそうで、ちょっと怖ろしい気もしなくはないが、と麻琴は思った。