真実(まこと)の愛
「そのリングね、わたしの完全オーダーのオリジナルデザインで、世界でたった一つしかないんだけどもね。恭介が、あなたにだれも持っていないリングをプレゼントしたい、って言うから一肌脱いだのよ」
麻琴は右手の小指で輝く、オパールとダイヤモンドのフォークリングを見つめた。
「オパールはあなたの誕生石なんでしょ?
恭介から今月中に渡したいって、すっごく急かされて、ありえない期間でつくったのよ。
……あ、だからって、手はまったく抜いていないわよ?正直言うと、商品化してショーケースの中に置きたいって思ってるくらいのデザインなんだから」
礼子は自信たっぷりに胸を張った。
「恭介から麻琴さんの『人となり』を聞いてイメージしたけれど、予想してた以上にあなたに似合ってて、ものすごくうれしいのよ。
いくらデザインがすばらしくても、肝心のお客さまに似合ってなかったら意味ないじゃない?」
「確かに素敵なリングだ。
独創性あふれる中にも気品があって、まさに礼子のデザインそのものだけど、それでいて麻琴さんの醸し出す洗練された華やかな雰囲気に、オパールとダイヤモンドがすごく合ってるよ」
鮫島も太鼓判を押す。
「自社製品」ということもあるが、彼は何十年もこの国のジュエリー業界の先頭を突っ走ってきたプロフェッショナルだ。
「あ、ありがとうございます」
ここまで褒められまくると、こっ恥ずかしくて麻琴の頬が火照ってくる。