真実(まこと)の愛
「で、でも、わたしと恭介さんは、あなた方のようにおつき合いしてるわけじゃないので……」
……なんだか、急に「空気」が変わってない?
「……本当にそう思ってるんなら、いいんだけどね」
鮫島が耳に心地よい重低音の声で話す。
「松波先生はあの容姿のうえに、申し分のない仕事と家柄をお持ちだ。礼子とつき合っていたときも、女性は際限なく群がってきたそうだよ?」
「ええ……だから、わたしには身に余る、もったいないお方だと存じています」
麻琴は鮫島の静かな「圧」を受けて、おずおずと応じる。
「そう……じゃあ、松波先生を、
ほかのだれかに取られてもいいんだね?」