真実(まこと)の愛
Last Chapter

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十月末に、麻琴は三十四歳の誕生日を迎える。

その月の初旬、一足先に恭介が三十九歳の誕生日を迎えていた。

せっかく同じ月なのだから、お祝いは一緒にしようということで、今週末に逢うことになった。
ちなみに同じ誕生月でも、恭介はてんびん座だが、麻琴はさそり座である。

……うーん、バースデイプレゼントは、なににしようかしら?

知り合ってまだ半年の二人にとって、初めての誕生日プレゼントになる。
別にサプライズで驚かせてみましょう、なんていう歳でもないので、麻琴は直接本人にLINEのトークでほしいものがないか訊いてみた。

すると、すかさず通話がかかってきた。

『麻琴でしか僕に渡せないものがあるけれど、
別に用意するものでもないからいいよ』

意味不明な「なぞなぞ」のような返答だった。

「そういうわけにはいかないわ。
恭介さんのためにちゃんと用意したいから、せめてヒントくらいください」

麻琴がそう食い下がると、

『僕はすでに用意しているけれど、お金は特に掛かってないから、きみは本当になにも用意しなくていいんだよ』

さらに意味不明な返答が来た。

そこまで言うのなら、と思った麻琴は本当になにも用意せず行くことにした。

……まぁ、向こうがなにかくれたら、その日の食事代か呑み代を奢ればいいわね。

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