真実(まこと)の愛
美味しかった食事の余韻に浸りながら、食後のコーヒーを飲んでいると、いきなり恭介が椅子から立ち上がった。
そして、麻琴の方へ歩み寄り、彼女も椅子から立ち上がらせた。
……な、なに?どうしたの?
「これが、きみへの贈り物だよ」
恭介は麻琴の手をとり、手のひらにワインレッドのジュエリーケースを置いた。
……あ、そういえば、『僕はすでに用意している』って言ってたわね。
麻琴はなにも用意していないので、ここの食事代を奢ろう、とぼんやり思った。
「麻琴……」
恭介は麻琴の手をとったままだ。
その右手の小指には、すでに彼からもらったオパールとダイヤモンドのフォークリングが光る。
……この前、リングはもらったから、今度はピアスとかかしら?
しかし、買ったものではないようなことを恭介は言っていた。