真実(まこと)の愛
「僕の祖母が亡くなったときの、形見分けの品なんだ」
……だから『お金は特に掛かってない』のね。
「あ、クリーニングして、ちゃんとキレイにはなってるからね。僕がお金を掛けたのは、その分だけだね。だから、きみにはなんら気にすることなく受け取ってほしいな」
そう言って、恭介は、麻琴の手の中にあるワインレッドのケースをぱかっ、と開けた。
中からあらわれたのは……クラシカルなデザインの指輪だった。