真実(まこと)の愛

イギリスのウィリアム王子が、妻となったキャサリン妃にプロポーズの際に贈ったリングは、若くして命を落としたダイアナ元皇太子妃()が結婚の際にチャールズ皇太子()からもらった、美しいダイヤモンドが周囲を取り巻く大きなサファイアのリングだという。

輝かしいgem(宝石)は人の命よりも永く生きる。

イギリスの貴族社会では先祖代々引き継がれてきたものを、次世代へとつなぐことはめずらしいことではない。決して「中古を回した」なんて言ってはいけない。

もし、時を経て古く感じられるデザインなら、いくらでも現代風にリメイクして「新しく」できる。また、それに耐えうるハイクオリティな宝石が使われているのだ。

今、麻琴の手のひらのケースに収まっている恭介の祖母の婚約指輪(エンゲージリング)に使われているのは、まさに今となってはおいそれとは用意できないほど貴重な代物(ダイヤモンド)である。

そして、なによりも……

恭介の「本気(ガチ)度」がひしひしと感じられるのは、大好きだった祖母が一番大切にしていたものを、惜しげもなく麻琴に渡してしまう、というところだ。


でも……だが……しかし……

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