真実(まこと)の愛
「そ、それに、キス一つしたこともない人と、いきなり結婚して、一緒に暮らすなんて、わたしには考えられませんっ!」
すると、リアル王子様のごとく片膝をついていた恭介が、突然立ち上がった。
ヒールを履いて一七〇センチを超える麻琴だが、さすがに一八五センチ以上ある恭介からは見下ろされる。
……な、なに?
麻琴がそう思った次の瞬間……
見目麗しき顔が近づいてきたかと思うと……
ちゅっ、と自分のくちびるで軽やかな音がした。
「……キスはもうしたよ?」
恭介があの黒い笑顔を浮かべていた。
麻琴のことを「マコッティ」呼びしていたときの顔だ。
「でも、結婚して一緒に暮らすんだから……もっと先に進まないとね?」