真実(まこと)の愛
「恭介さん……ひとつ、訊いてもいいですか?」
なんだか不穏な雰囲気になりそうなので、麻琴は以前から不思議に思っていたことを訊いてみることにした。
「わたしの……どこが好きなんですか?」
この歳になってこんなイタい質問、今まで訊くのが躊躇われていたのだけれども、つい先刻プロポーズまでされたのだから、もういいだろう、と麻琴は思った。
ずっと、不思議だったのだ。
魚住にも青山にも選ばれなかった自分が、彼らよりもハイスペックな恭介に、これほどまでに所望される意味がさっぱりわからなかった。
恭介が虚を衝かれた顔になった。
今までの「黒い笑顔」が一瞬で消えた。
「……そういう一筋縄ではいかないところも好きだけどね。追っても追っても、いつもするりと逃げて行くしね」