真実(まこと)の愛

「恭介さん……ひとつ、訊いてもいいですか?」

なんだか不穏な雰囲気になりそうなので、麻琴は以前から不思議に思っていたことを訊いてみることにした。

「わたしの……どこが好きなんですか?」

この歳になってこんなイタい質問、今まで訊くのが躊躇(ためら)われていたのだけれども、つい先刻(さっき)プロポーズまでされたのだから、もういいだろう、と麻琴は思った。

ずっと、不思議だったのだ。

魚住にも青山にも選ばれなかった自分が、彼らよりもハイスペックな恭介に、これほどまでに所望される意味がさっぱりわからなかった。

恭介が虚を()かれた顔になった。
今までの「黒い笑顔」が一瞬で消えた。

「……そういう一筋縄ではいかないところも好きだけどね。追っても追っても、いつもするりと逃げて行くしね」

< 259 / 296 >

この作品をシェア

pagetop