真実(まこと)の愛
「あぁ……だって、青山さんに紹介してもらったからね」
なにも知らない恭介は、得意げに言う。
「帰国してしばらくは実家に住んでたんだけど、いろいろと家族が煩わしくてね。
青山さんに『どこか良い物件はないか』って相談したら『セキュリティはもちろんのこと、コンシェルジュがしっかりしてて、良いマンションだから』って勧められたんだ。実際に住んでいる人がそう言うのなら、間違いないでしょ?」
恭介はそう言いながら、エントランスへ向かう。
エントランスを立ち塞ぐ巨大な自動ドアが、恭介の指紋認証で解除され、うぅぃーんと開いたと思ったら、そこにコンシェルジュが傅いていた。
「……お帰りなさいませ、松波さま」
「ただいま……テンシくん」
松波はコンシェルジュに上機嫌で挨拶した。
……『テンシくん』って、「天使」ってこと?
まぁ、「名は体を表す」って感じだけど。
ホテルのドアマンのような制服を着たコンシェルジュの彼が、まるで王子さまのような雰囲気のイケメンだったからだ。