真実(まこと)の愛
打って変わって今度は、ぎゅーっと麻琴を抱きしめる。
「もしかして……麻琴って、ああいうのがタイプなの?」
その恭介の口調は完全に拗ねていた。
とてもめんどくさいことになっている。
「ちょ、ちょっとなに言ってんのよっ⁉︎」
麻琴はびっくりして叫んだ。
「ご、誤解ですっ!わたし、実はこの前、杉山くんのお店で……」
Viscumで久城 礼子と顔を合わせた際に、典士の父親である鮫島社長に会ったことを、ちゃんと「説明」しようと思ったのだが。
背後から麻琴の肩に顔を埋めていた恭介が、いつの間にか麻琴の首筋にちゅ、ちゅ、とくちびるを這わせている。
さらに、前に回った大きな右手のひらが、バスローブ越しに麻琴の豊かな胸を包み込んで、やわやわとしてきた。
「ちょ、ちょっと……恭介さんっ⁉︎」
急に恭介のマンションに連れてこられた麻琴には、当然着替えはない。シャワーを借りたあとは、恭介が用意してくれたバスローブを纏っていた。
Viscumが入っている外資系高級ホテル、マーヴェラス 東京ベイのスイートでも使われているほど、肌触りのよいバスローブだ。以前泊まったときに気に入った恭介が、ホテルに問い合わせてほぼ同じものを手に入れていた。
そのバスローブの紐を、恭介が左手でするっと解こうとする。
はっ、とした麻琴は両手でぐっと押さえた。