真実(まこと)の愛

「えっ、確か十五分ほどでしたよね?」

それほど手際が悪いとは思えなかった。

「ディナーなら一時間は料理にかかりっきりになるだろ?」

……そりゃあ、夕食ではそうでしょうね。

「そんなの、やだ。耐えられない」

麻琴のことを『会社でマコッティと呼ぶ』と言ったときの顔になっていた。
かなりめんどくさそうなことになっている。

すると恭介は、ダイニングテーブルの隣に座っていた麻琴を引き寄せ、自分の膝の上にひょい、と乗せた。

「ちょ、ちょっと恭介さんっ!わたし……結構、重たいわよ?」

あわてる麻琴の頬に、ちゅっ、とキスをして、

「そんなことないよ。きみのカラダの重さは、昨夜、じゅうぶん身をもって知ったよ」

恭介は最愛の麻琴をカラダごとぞんぶんに愛せた、しあわせな一夜を思い浮かべる。


「もう絶対に……一生、離さないからね」

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