真実(まこと)の愛
「だけど、こんな短期間でIT関連の国家資格を取っちゃうなんて、ややちゃんすごいわねぇ」
麻琴が感心する。
彼女ももちろん限定ランチの油淋鶏セットだ。
会社から補助が出るため、なんと四百円で食べられるのだ。
だが、ミニチャーハンに手をつけていた稍は首を左右に振った。
「ITパスポートなんて、情報システム部では何の役にも立たないよ。最低でも基本情報技術者がないと」
ゆくゆくは、管理ソフトを外注せずに社内ですべて賄うのが目標の情報システム部は、WordやExcelやPowerPointなんかとは全然次元の違う世界で生息しているらしい。
稍はAccessを使ってデータベースを、HTMLでソースを書いてウェブページを、思うままに操れるほどのスキルがあるというのに、太刀打ちできないようだ。
麻琴はわかめ玉子スープをごくり、と飲む。
自分にとっては苦手な分野だ。