真実(まこと)の愛

この十月、ついに(株)ステーショナリーネットでは、社長のトップダウンによって大規模な部署の再編成が行われた。

それまで、ステーショナリー部門にしかなかった自社製品を開発・販売するプライベート(P)ブランド(B)事業部がロハスライフ部門にも新設され、それに伴いMD課がその配下に置かれた。

MD課とは、マーチャンダイジング課の略で、商品の企画から開発そして販売促進や営業に至るまでを、小規模なチームで(おこな)っている。

だから、扱っているのは定番商品よりも、アイディア商品などの少し奇を(てら)ったものとなるため、もともと商品化されても大量生産されるわけではない。

少数精鋭でほかにはない商品づくりのために、MD課ではそれぞれのチームリーダーが他部署からほしい人材をスカウトしてきて、チームでマーチャンダイザーをするシステムになっている。

そして、その「チームリーダー」にこの度、麻琴が抜擢されたのだ。

だが、しかし。

入社以来、ステーショナリー畑でやってきた麻琴には、ロハスライフでの人脈がない。

チームにとって必要な人材をスカウトしようにも、どの部署にどんな人材がいるかなんてまったくわからない。

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