真実(まこと)の愛

「「えええええぇ……っ⁉︎」」

松波と杉山が同時に()()った。

「……じゃあ、きみ、諒志(りょうじ)と七海さんの結婚式に出席した?」

松波が呆然とした顔で訊く。

杉山が「えっ、恭介さん喰いつくとこはそこ?」という怪訝な顔になる。

「はい……親族なので」

麻琴がおずおずと答える。

……あぁ、やっぱりあの七海ちゃんだったか。

脳裏に、学年は一つ上だが同い年の従姉妹(いとこ)の顔が浮かんだ。今では年子で立て続けに生まれた三児の母だ。


「……Bollocks(チクショーっ)!あのとき、なんとしてもロンドンから帰ってくるべきだったっ!
そしたら、もっと早くに出逢えていたのにっ‼︎」

松波はアメリカンチェリーのカウンターをどんっ、と叩いて口惜しがった。

杉山は呆れ果てた目をしながらも、生温かい視線を送った。

< 66 / 296 >

この作品をシェア

pagetop