真実(まこと)の愛
「差し出がましくて恐縮なのですが……」
見かねた杉山が切り出す。
「渡辺さま……思うところはいろいろあるとお察ししますが、今日のところは、恭介さまがお選びになったプレゼントを受け取ってもらえませんでしょうか?オパールが誕生石だということは……
今月がお誕生日ですよね?」
内心は「世話の焼けるオトナたちだなぁ」と思いながらも、松波への「助け船」を出港させた。
「恭介さまからのバースデイプレゼント、ということでもお収めいただけませんか?」
確かに、麻琴の誕生日は今月末だった。
松波があわてて「麻琴さんのBirthday presentはまた別に……」と言いかける。
しかし、すかさず杉山が「今は余計なことをしゃべるな」とばかりに、ぎろっ、と睨んで制した。
麻琴もさすがに「プレゼントを買い取る」というのが、失礼極まりない行為であることに気づいた。
「ご、ごめんなさい……わたしったら、つい……」
いい歳をして恥ずかしくて堪らない。
今夜は離れた場所に数人、お客さんがいるだけだからよかった。向こうの話が聞こえてこないということは、こちらの話も聞こえていないだろう。