真実(まこと)の愛

それから、松波とだったら、お互い外国に縁があるため、会話の中にときどき英語が混じっても違和感がない。

そして、今までつき合ってきた人とは、どんな話題を振られても麻琴の方が話に乗って合わせてきたものだった。

なので、麻琴はいつも相手の「知識量」に合わせて決して超えることのないように「加減」しながら話していた。

だが、松波にはそんなことをする必要が一切なかった。逆に彼は、麻琴が振るどんな話題にも乗って合わせてきてくれた。

飄々と応じているが、さりげなく返ってくる蘊蓄はとんでもなく深い。彼が博学多識、博覧強記であるのは間違いない。

だから、たとえ長身で超イケメンで家柄もすこぶる良く、さらには「医師」という婚活女子にとっての必殺アイテム(?)を差っ引いたとしても……

こんなに気遣いのあるやさしい男性(ひと)が、こんな自分なんかに好意を寄せてくれるのは、「もったいないこと」だと思う。


なのに……

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