真実(まこと)の愛
Chapter3
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……あぁーあ、今日もまた残業だなぁ。
夕方になる今まで、autoCADとにらめっこしながらもまったく捗らない。
麻琴は、まるで小洒落たカフェにでもあるテーブルのようなデスクに頬杖をついて、ため息を吐いた。
「あ、守永課長、おかえりなさい」
近くのデスクにいる岡本 紗英が声をかける。
守永が客先から戻ってきたようだ。
「あ、守永課長、お疲れっす」
離れたデスクでいた上林 俊太も労う。
ちなみに、すべて自社製品の什器であるこのオフィスの、どこに陣取っても自由だ。
なのに、客先から帰ってきた守永が、よりによって麻琴の隣の席に、どかっ、と座る。
「……守永課長、ほかにも空いてるスペースありますよね?」
麻琴は忌々しげに守永を横目で見た。
「麻琴はおれに対して『おかえり』も『おつかれ』もないのかよ?」
守永はニヤッと笑って、トゥミのブリーフケースをデスクの上に、どん、っと置く。