真実(まこと)の愛
Chapter3

➖❶


……あぁーあ、今日もまた残業だなぁ。

夕方になる今まで、autoCADとにらめっこしながらもまったく捗らない。

麻琴は、まるで小洒落たカフェにでもあるテーブルのようなデスクに頬杖をついて、ため息を吐いた。

「あ、守永課長、おかえりなさい」

近くのデスクにいる岡本 紗英が声をかける。
守永が客先から戻ってきたようだ。

「あ、守永課長、お疲れっす」

離れたデスクでいた上林(かんばやし) 俊太も(ねぎら)う。

ちなみに、すべて自社製品の什器であるこのオフィスの、どこに陣取っても自由だ。
なのに、客先から帰ってきた守永が、よりによって麻琴の隣の席に、どかっ、と座る。

「……守永課長、ほかにも空いてるスペースありますよね?」

麻琴は忌々しげに守永を横目で見た。

「麻琴はおれに対して『おかえり』も『おつかれ』もないのかよ?」

守永はニヤッと笑って、トゥミのブリーフケースをデスクの上に、どん、っと置く。

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