真実(まこと)の愛

「……で、新しい部署はどうなの?」

稍は麻琴にそう訊くと、プレモルを一口呑んで手羽先を頬張る。

麻琴はここぞとばかりに、今の「現状」を包み隠さず話した。

「ふうん……『課長』なのにサブリーダーって、
やり辛そうだねぇ。しかも、商品企画の上林くんって、なんだか守永課長に『心酔』してるみたいだしね」

やっぱり稍は理解(わか)ってくれた。

……そうなのよねぇ。

その華やかな風貌から、麻琴ははっきり言って、今までに男子からはさんざんモテてきた。
(ただ、どうでもいい人からは好かれても、
ガッツリ好きになった魚住や青山からは振り向いてもらえなかったのだが)

そのために、学生時代は女子からはやっかまれてイヤな思いもしたものだが、男子からはイヤな目に遭ったことはない。

社会人になってからは、男女問わずうまくやってきたつもりだ。特に歳下の人たちからは相談を持ちかけられたりして、好かれている方だと思っていた。前の部署で一緒だった、上林とは同期の山口だって、色恋抜きに懐いてくれていた。


……なのに、あんなに毛嫌いされるだなんて。
しかも、彼の言うことが、いちいち的を射てるのよねぇ。「部下」との関係って、ほんと難しいわぁ。

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