真実(まこと)の愛

「……それとさ、麻琴ちゃん、松波先生とはどうなってるの?」

稍が、おかわりのプレモルを持ってきた店員さんに、飲み干した空のジョッキを渡しながら訊く。

「あ、クォーターで超イケメンなお医者さんなんだってね?」

とうに風の森を呑み終えて、今度は新潟の〆張鶴の冷酒を呑んでいた美咲が、目をらんらんと輝かせている。お鍋も進むが酒も進む中での「恋バナ」だ。

「美咲さん、その医師(せんせい)、うちの会社の非常勤の産業医になったんですよ」

社員ではない美咲に稍が説明すると「おおぅ!」と歓声があがった。

半年ほど前、大阪に転勤が決まった山口 悠斗が、焦ってとんでもないことをした。
彼は稍に横恋慕していたのだが、青山が絡んだ彼女の弱みに付け込んで、ホテルの客室に連れ込もうとしたのだ。

その際に、間一髪のところで救い出したWhite(白衣の) Knight(騎士)が松波だった。

青山とともにその客室に駆けつけた麻琴は……そこで彼と出逢った。

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