真実(まこと)の愛
麻琴はしぶしぶながら、医務室でのことも「報告」する羽目となった。
「ええっ⁉︎ ……松波先生、守永課長の前でそんなことしたのっ⁉︎」
稍がムンクの顔で叫んだ。
どうやら、そこまでは人事の小林 仁美に見られていなかったようで、麻琴はホッと胸を撫で下ろした。
だが、しかし……
「うーん……守永くん、かぁ……」
美咲があどけない童顔の眉間にシワを寄せて唸っている。とても彼女がこの中で一番歳上には見えないのだが、今はものすごく険しい表情になっていた。
……あ、美咲さんは知ってるわよね?
守永は美咲の夫の魚住とは同期入社で、大阪支社に配属されたのも同じだった。
当然のことながら、美咲と魚住の結婚パーティには守永も出席していた。
……当時の彼の妻、瑞季と一緒にね。