10歳年下の部下を溺愛しすぎて困ってます
「主任?」
「え?」
「どうかしたんですか?ぼーっとしてましたけど。
お疲れでしたか?」
「ああ、ちょっとぼーっとしてたね。大丈夫。
仕事の話しないとと思ってたんだけど。」
「あ、はい。」
「突然だけど伊藤君、優秀だよね。
前の所でもそう言われてたんじゃない?」
「いえ、そんなことは全然ないです。普通です。」
「ううん、とっても真面目だし、物覚えもいいし、一生懸命頑張ってくれてるし。」
彼は少しはにかんだような顔をした気がした。
「ありがとうございます。当たり前のことをしてるだけですけど…。」
「当たり前のことをできるって、なかなか難しいもん。
伊藤君見てたら、これからもこうやって頑張ってくれそうかなーって思ってたんだけど。
この間も少し言ったけど、仕事の内容は前の所とほとんど変わらないから。
基本的には自分でしてもらって、分かんないとこはすぐ私に聞いてもらう形でいい?
伊藤君的にはどうかな?」
「多分大丈夫だとは思うんですけど、さすがにまだ3日目なんで…。
できればあと1週間位一緒に動いてもらえると助かります。
できればでいいんですけど…。」
伏し目がちに言う彼に、初めての異動で心配な気持ちを感じ取ってしまった。
私はそれ以上無理は言えなかった。
「やっぱりまだ一人は心配?」
「はい。少ないとはいえ、スタッフの名前もまだ完璧に覚えてないですし。
あと1週間あったら大分違うと思うんです。
その間にも僕頑張って仕事色々覚えますから。
よろしくお願いします。」